猫が水をよく飲む原因は?多飲多尿は病気のサイン?!

猫が水をよく飲む原因

こんにちは、獣医師のにわくま(@doubutsu_garden)です。

猫はあまり水を飲まない動物として知られていますよね。

なぜ猫があまり水を飲まないかというと、もともと砂漠に住んでいたため、尿を高濃度に凝縮し、少ない水分で生きられるよう適応したためだと言われています。

猫の腎臓病や泌尿器系の疾患(猫下部尿路疾患)は、水をあまり飲まない猫の性質の弊害といえるでしょう。

にわくま
逆にいつもより飲水量が増えたら要注意。病気のサインである可能性があります。

そこで今日は、猫が飲む水の量が増える原因を解説します。

目次

猫の正常な飲水量はどれぐらい?

https://twitter.com/doubutsu_garden/status/1188218156952670209?s=20

まずは、猫の正常な飲水量を知っておく必要があります。

猫の正常な飲水量=体重1㎏あたり30〜40ml

もちろん個体差はあるので、おうちの猫ちゃんの普段の飲水量を把握しておく必要があります。

計量カップで一定の量の水を与え、24時間後(12時間後でもオーケー)にどれぐらい減っているか計ってみましょう。

天気や気温によっても左右されるので、1週間ぐらい連続して観察してくださいね。

尿量・尿色・尿の臭いにも注意!

飲水量の変化と同時に、尿にも変化がみられるはずです。

たとえば

  • 尿量が多い(1回の尿量、1日の排尿回数が多い)
  • 尿色が薄い
  • 尿の臭いがなくなる

飲水量が増えることと合わせて「多飲多尿」と呼んでいます。

水をたくさん飲むから尿量が増えるのではなく、多くの場合、尿量が増えるために水をたくさん飲むんですね。

にわくま
猫砂の場合は尿の塊の大きさ、ペットシーツの場合は重さやシミの大きさでチェックしてみよう。

水を飲む量が増加したときに考えられる病気とは?

https://twitter.com/doubutsu_garden/status/1188356497249464321?s=20

上記のツイートのように、水を飲む量が増える(多飲)原因はいくつか考えられます。

  • 慢性腎臓病
  • 糖尿病
  • ホルモン疾患(猫では甲状腺機能亢進症が多い)
  • 子宮蓄膿症
  • フードの変更
  • 薬の使用(ステロイド、利尿剤など)
にわくま
とくに猫で圧倒的に多いのは慢性腎不全。次いで糖尿病でしょうか。

これらの病気の症状は1つではないですが、代表的なものに「多飲多尿」があります。

食欲不振や元気の消失、食べているのにやせてきたなどの症状とともに多飲多尿があれば、すぐに動物病院で検査を受けましょう。

とくに中高齢の猫は腎臓疾患が多く、慢性腎不全は高齢猫の死因第一位というデータもあります。

腎不全はいかに早い段階で発見できるかで予後や治療法も変わってきますが、その初期症状として多飲多尿がみられます。
発見は早ければ早いほどいいのです。

猫はたとえ家族の人であっても病気を隠す動物なので、その他の症状は、病気が末期近くならないと現れません。

考えられる病気は上記だけではありませんが、猫がたくさん水を飲む、尿量が増えるようになったときは疑ってみてください。

慢性腎臓病

腎臓は血液中の老廃物を回収して、尿として体外へ排出する重要な役割があります。

しかし、高齢になると腎臓の機能が低下し、尿を濃縮することができなくなり、薄い尿を大量にするようになります。

その結果多くの水分が体外に排出されてしまうので、水を飲む量が増えるんですね。

初期の段階で腎臓病の症状が出る犬もいますが、重篤な症状は腎機能の75%が失われないと現れません。
腎臓病の早期発見がむずかしいのはそのためなのです。

発見が早ければ、早い段階から病気の進行を遅らせることができます。

多飲多尿は慢性腎臓病の初期症状の1つなので、少しでも早く気づきたいですね。

糖尿病

中高齢の猫に多い病気であり、特に肥満の猫では注意が必要です。

猫の糖尿病はコントロールが難しく、病態が悪くなり早期に亡くなるケースも多いので早期発見が重要なのです。

糖尿病性ケトアシドーシスという状態になると、元気消失や嘔吐、下痢を起こし、最終的に昏睡状態になり亡くなる可能性もあります。

このような状態になる前に、早めに気づきたいですね。

甲状腺機能亢進症

甲状腺ホルモンは全身の代謝を促進するホルモンで、喉の気管あたりにある甲状腺から分泌されます。

甲状腺機能亢進症は様々な原因により甲状腺ホルモンが異常に多く分泌されて、身体の様々な臓器に負担をかける状態のことを言います。

甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、多飲多尿のほかに体重減少や食欲増進、毛ヅヤが悪くなる、呼吸が速くなる、攻撃的になる、といった症状がみられます。

子宮蓄膿症

猫は交尾排卵であるため犬に比べると発生はまれですが、避妊手術をしていないメスに多い病気です。

子宮に細菌が入りこみ、子宮の中で増殖し炎症を起こします。
子宮に溜まった細菌が出す毒素の影響によって腎臓がダメージを受けるため、腎臓の機能が低下して尿量が増えます。

にわくま
避妊手術をすることで予防できます。

フードの変化

缶詰のように水分が多く含まれているウェットフードからドライフードに切り替えると、飲水量が増えることがあります。

また、人間と同じで塩分の多い食事をすると水をたくさん飲むようになります。

ナトリウム含有量の高いフードや、塩分の高い人間のごはんなどを食べてしまうと、水を飲む量は増える可能性があります。

薬の服用

アトピー性皮膚炎の治療や皮膚の痒み止めなどとして使うステロイド剤や、心不全の治療に使う利尿剤は、尿量が増えます。
結果的に飲水量も増えるんですね。

薬の服用を中止すれば元に戻るので、あまりにも尿量が多くて管理が大変という場合は病院へ相談してみるといいかもしれません。

まとめ:猫が飲む水の量が増えたら病気のサイン!すぐに病院で検査を!

  • 猫は尿の濃縮能が高く、もともと飲水量が少ない
  • 猫の多飲は様々な病気の初期症状であることが多い
  • 猫の場合、多飲多尿の3大要因は慢性腎臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症
  • 飲水量のほかにも尿量、尿色、尿の臭いもチェックしよう

猫はもともと飲水量が少ないので、水をよく飲んでいる姿をみると逆に安心してしまう飼い主さんもいるようです。

猫の多飲多尿は病気のサインであることが多く、しかもなかなか治らない病気ばかりです。

飲水量や尿量を観察することはおうちで今すぐ始められると思うのでぜひ今日から計ってみてください。

多飲多尿がみられたら、食欲や元気があっても病院で検査を受けましょう。

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