こんにちは、獣医師のにわくま(@doubutsu_garden)です。
今日は、低血糖症の中でも「子犬の」低血糖について解説します。
低血糖とはどんな状態?
体を動かすためのエネルギーがブドウ糖(=血糖)です。このブドウ糖を燃やすことによって、体は色々な活動をすることができます。
低血糖症は、何らかの原因によってブドウ糖が著しく減ってしまうことにより、様々な症状が出る状態のことをいいます。
子犬とくに小型犬は低血糖になりやすい
体のエネルギー源であるブドウ糖を一定に保つことはとても重要です。
そのために大切な役割を果たしているのが、肝臓。
肝臓はブドウ糖を一時的に肝臓内にグリコーゲンという形で貯蔵し、必要な時にブドウ糖に戻すことで血糖値を調節しています。
成犬であれば、この機能がしっかり働き、数日食事をとらなくても血糖値が急激に下がることはありません。
しかし子犬の場合、この血糖値を調節する機能が十分に備わっていないため、空腹時間が続くと血糖値の維持ができずに、低血糖症になってしまいます。
低血糖になる原因は?
子犬の低血糖症は生後3〜4ヶ月ぐらいまでに起こることが多く、その原因として
- 長時間、十分量の食事をとれない
- 寄生虫やウイルス性の腸疾患
- 先天的な肝疾患
原因の多くは長時間、十分な食事をとれなかったことによるもの。
家に迎えたばかりで環境やフードに慣れずご飯を食べなかったり、もともと食が細く食事量が足りないなどが考えられます。
子犬の場合は6〜8時間に1回のペースで、1日に4〜5回食事を与えましょう。
また、寄生虫やウイルス感染により下痢や嘔吐がひどく、食事をとれない場合も同様です。
先天性肝疾患では門脈体循環シャントによるものが多いです。
低血糖になるとどんな症状がみられるの?
脳神経系のエネルギー不足による症状がみられます。
- ふらつく
- 横たわる、立てない
- 意識朦朧
- 低体温
- 振戦(ふるえ)
- 全身性の発作
予兆としてふらつきなどがみられる場合もあれば、さっきまで元気に走り回っていたのに、気づいたら発作を起こしていたということもあります。
子犬が低血糖かも!家で何かできることはある?
低血糖症が疑われる場合には、必ず病院へ連れていく必要がありますが、その前に自宅でできる緊急処置があります。一刻を争う場合もあるので、ぜひ覚えておいてください。
砂糖水やガムシロップなどを舌にたらして舐めさせると回復することがあります。
初めて子犬が発作を起こすと、飼い主さんはパニックになってしまい、とにかく砂糖水を飲ませようとしてしまいます。
意識が朦朧としていてうまく飲み込むことができないようであれば、その時点でストップしましょう。
意識がある状態であればいいのですが、発作を起こしている動物は、ほとんど意識がありません。
この状態でとくに顔周りを触ると噛まれたりケガをする可能性があるので、無理に触るのではなく、周りのぶつけたら危ないものをどけて、落ち着いて様子をみましょう。
病院では上記のツイート内容を獣医師に伝えてください。
単なる低血糖ではなく、異物誤食や他の原因があるかもしれないからです。
動画撮影は可能であれば、で大丈夫ですよ。
低血糖症を引き起こす原因となる疾患がある場合はその治療もあわせて行います。
まとめ:子犬の低血糖の予防は家での食事管理が重要!
子犬の低血糖を防ぐには、家での食事管理が重要となります。
食事の間隔が長くなると低血糖症を発症しやすいため、1回あたりの食事量を減らして食事回数を増やしてみましょう。
少なくとも6〜8時間に1回のペースで、1日に4〜5回に分けて与えましょう。
しかし、いくら食事をこまめに与えていても、先ほど説明したように突然低血糖で倒れてしまうこともあります。
低血糖ではどのような症状が出るか把握し、もしものときに応急処置ができるようにしておくといいですね。
焦ってしまうかもしれませんが、落ち着いて家で出来る処置をして、すぐに病院へ向かいましょう。
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