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猫の皮膚糸状菌症の症状・治療法とは?

こんにちは、獣医師のにわくま(@doubutsu_garden)です。

にわくま
にわくま
最近よく皮膚糸状菌症、いわゆる”カビ”に遭遇します。犬よりも猫で多い疾患です。人獣共通感染症であり、その病態について理解しておくことは重要です。

また、ブリーダーやペットショップで多頭飼育している場合に、発症すると清浄化がむずかしいことが問題となっています。

今日は、犬や猫でよくみられる皮膚糸状菌症について解説します。

皮膚糸状菌症とは

皮膚糸状菌症とは、角質や毛、爪に侵入し、生息する皮膚糸状菌によっておこる皮膚疾患のことをいいます。

皮膚糸状菌はもともと土壌や塵埃中で動物の死骸や被毛に含まれたケラチンを栄養源として生息していましたが、進化の過程で動物間で直接感染するようになりました。

そして、犬や猫、ウサギ、げっ歯類だけでなく人にも感染する人獣共通感染症です。

皮膚糸状菌は約40種類いると報告されており、犬や猫では次の3種類が圧倒的に多く検出されます。

  • Microsporum canis
  • Microsporum gypseum
  • Trichophyton mentagrophytes

犬への感染の約70%がM. canis、約20%がM.gypseum、約10%がT. mentagrophytesと報告されています。

一方、猫では99%がM. canisの感染によるものです。

被毛に真菌が付着しているだけで、皮膚には侵入していない「腐生」の状態であることも多い。そのため、無症状ではあるが感染源となり、接触することで人やほかの動物に感染することがある。

皮膚糸状菌症の症状は?

下記のツイートのように、猫の皮膚糸状菌症は、頭部四肢端に多く発生します。

とくに子猫に多くみられます。

https://twitter.com/doubutsu_garden/status/1182040630257520640?s=20

具体的にどんな症状がみられるかというと、

  • 脱毛
  • 表皮小環(リングワーム病変、赤い円形の発疹)
  • 水疱
  • 痂皮(かさぶた)
  • フケ
  • 粟粒性皮膚炎(赤いブツブツ)
  • かゆみ(軽度もしくはないこともある)
にわくま
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病変をみて、真菌っぽいなと思うことはありますが、ほかの皮膚疾患でも同じような症状がみられるので、いくつか鑑別診断を思い浮かべながら診断を進めていきます。

下の写真は、4ヶ月齢の子猫です。

皮膚糸状菌症の猫

ウッド灯検査陽性、真菌培養検査陽性で皮膚糸状菌症と診断した症例です。

ちょっとわかりづらいかもしれませんが、右眼の周り、鼻の頭、口の周りの皮膚が赤くなり、脱毛しています。

診断法は?

問診・身体検査

飼育環境や病歴などくわしく把握します。

身体検査では、どの部位に、どのような病変があるかなどしっかり診て、ノミやダニ、ほかの皮膚疾患を除外しておくことが重要。

ウッド灯検査

ウッド灯は、紫外線を照射する装置で、皮膚糸状菌が産生する物質を蛍光発色させます。

ウッド灯

このような機械ですね。

暗い部屋で病変部を照射して、毛が黄緑〜青緑色に発色すれば、ほぼM. canis陽性といっていいでしょう。

「ほぼ」と言ったのは、ホコリやフケ、薬剤などが同じように発色することがあるので、ウッド灯検査だけでは断定できません。

にわくま
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ウッド灯では、M.gypseumやT. mentagrophytesを検出することはできません。なので、陽性だった場合は、M. canisの感染と考えていいでしょう。

抜毛検査(直接鏡検)

ウッド灯で陽性が出た場合、その部分の毛を抜いて顕微鏡で観察します。

ここで菌糸分節分生子が検出されれば皮膚糸状菌症と断定し、抗真菌薬の治療を開始することができます。

にわくま
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ウッド灯で陰性の場合、抜毛検査でも陰性のことがほとんどです。

培養検査

ウッド灯検査や抜毛検査で陽性が出ても、培養検査を行う必要があります。

その理由は、

  • 診断を確定的なものにする
  • 原因菌を特定する
  • ウッド灯検査や直接鏡検で陰性でも、培養検査で陽性が出ることもある

つまり、「真菌培養検査」が確定診断となるわけです。

培地はDTM培地(Dermatophyte Test Medium培地、商品名:ダーマキット)を使うことが多いです。

下の写真は病変部の毛を培養して3日目。

もともとは黄色の培地ですが、真ん中あたりがうっすら赤くなってきています。

ダーマキット3日目

培養10日目になると、培地全体が赤くなっています。
ここで陽性と判定します。

だいたい14日ぐらい培養して判定します。

ダーマキット10日目

このときできたコロニーを採取して顕微鏡で観察すると大分生子が観察できるので、菌種を同定することもできます。

治療法は?

治療法は大きく分けて以下の2つがあります。

  • 全身療法(内服)
  • 外用療法(外用薬、シャンプー)

症状に合わせて適切に組み合わせることが重要です。

抗真菌薬内服

病変部が複数ある、全身に広がっている場合は抗真菌薬の内服をします。

  • イトラコナゾール
  • ケトコナゾール
  • テルビナフィン

がありますが、嘔吐や下痢、肝障害などの副作用には注意が必要です。

外用薬

病変部が少ない場合は外用薬のみで治癒することもあります。

  • ケトコナゾール
  • ミコナゾール
  • テルビナフィン

ただし、塗りにくい、舐める、治癒するまで時間がかかるなどのデメリットがあります。

にわくま
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病変部の毛を刈ると、薬も塗りやすいし、早く治癒するのに有効です。

シャンプー

シャンプー単独では効果は低いのですが、全身療法と併用することで治癒を早めることができます。

ミコナゾール含有シャンプー(商品名:マラセブ)を使うことが多いです。

マラセブ

にわくま
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マラセブは、ミコナゾール硝酸塩(抗真菌薬)とグルコン酸クロルヘキシジン(殺菌作用のある消毒薬)含有のシャンプー。洗浄成分も配合しているので余分な皮脂分や汚れを洗い流します。マラセチア性皮膚炎や皮膚糸状菌症に使います。

シャンプーは内服薬と併用しながら、週1〜2回するのがオススメ。

治療期間はどれぐらい?

2週間ごとに培養検査をおこない、2回連続で陰性になったら治療終了としています。

全身性の場合は、陰性になった後も3〜4週間は投薬したほうがいいでしょう。

つまり、治療期間は数ヶ月間要します。

また、一度よくなっても再発する例も多いです。

まとめ:皮膚糸状菌症は人獣共通感染症として重要!症状や予防法について知っておこう!

  • 猫の皮膚糸状菌症はよくみられる皮膚疾患で、人獣共通感染症
  • 主な症状は脱毛やリングワーム病変、フケ、かさぶた
  • 全身性の場合は治療に数ヶ月間要する
  • 再発もありうる

皮膚糸状菌症は、とくに猫でよくみられる皮膚疾患で、人獣共通感染症として重要です。伴侶動物として人と密に生活するようになり、人への感染例も多いです。

今日は、皮膚糸状菌症の原因や症状、治療について解説しました。

次回は、皮膚糸状菌症の予防と対策について解説します!