猫の歯磨きって必要?
猫の歯磨き難しそう…できるかな?
こんにちは、獣医師のにわくま(@doubutsu_garden)です。
猫の歯磨きなんてできるのか?そもそも必要なの?と疑問に思う人もいますよね。
今日は、なぜ猫も歯磨きをする必要があるのか、そして効果的な歯磨きの方法を解説します。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
そもそも猫に歯磨きは必要? 歯周病は防げる?
まず、そもそも猫の歯磨きは必要なのか、という点について。
野生のネコ科動物は肉食なので、肉を引きちぎることで歯の表面の汚れが取れることに加え、あまり噛まずに飲み込むので、肉片が口の中に残りにくく、歯のトラブルが少ないと言われています。
一方、飼育下の猫の場合は、主食がキャットフードという場合が多いですよね。
ペットフードは肉に比べて食べカスが残りやすく、放置すると歯垢や歯石となって、歯周病になりやすいのです。
次のようなデータもあります。
猫の歯の病気で最も多くみられるのは歯周病で、猫の歯科口腔疾患の通院理由の半数以上を占めています。
アニコム家庭どうぶつ白書(2018)
また、3歳以上の8割が歯周病に罹患しいているとの報告もあり、小さい頃から歯周病予防をすることが大切です。
では歯周病を予防する方法は何なのか?
「定期的に歯磨きをして歯垢を取り除くこと」
が一番の方法なんですね。
猫の歯周病については下の記事で解説しています。
歯磨きの方法は?
猫の歯は大きく分けて
- 切歯(前歯)
- 犬歯(牙のことで、鋭い歯)
- 臼歯(奥歯)
から成っています。
こうした構造を持つ猫の歯ですが、猫にも人間同様「歯周ポケット」ができます。
「歯周ポケット」とは、歯と歯茎の間のすき間のことです。
このすき間ができてしまうと、この部分にさらに歯垢がたまり、歯垢の中に含まれる多くの細菌が炎症を引き起こして「歯肉炎」になるのです。
この歯垢を定期的に取り除くことが歯磨きの目的です。
歯石になってしまうと、歯磨きではとれなくなり、動物病院で全身麻酔をかけて超音波スケーラーという装置を使って削ってもらう必要があります。
そうなる前に予防したいですよね。
効果的な歯磨きの方法は?
「歯磨きしてくださいね」と獣医師は簡単に言いますが、歯を触られることを嫌がる猫ちゃんは多く、歯磨きなんて絶対ムリ!と思いますよね。
いきなり歯ブラシで歯磨きさせてくれる子はほとんどいないと思います。
そこで、まずは口を触ることから始めましょう。そして次はデンタルシートで磨く、それに慣れたら歯ブラシで磨くというふうに段階を踏んでいきましょう。
永久歯が生えそろう時期(生後6ヶ月前後)までに、歯磨きを習慣化するのが理想です。
用意するもの
- 歯ブラシ:動物用のヘッドの小さいものが良い
- 猫用歯磨きペースト:飲み込んでも大丈夫な猫専用歯磨き
- デンタルシート:指で磨くときに使える
歯ブラシ
歯ブラシは小児用のものでもいいのでは?
とよく聞かれますが、ヘッドの大きさやグリップの角度、長さが異なるので、やはり動物用を選んだ方が良いかと思います。
基本的にはヘッドが小さくて、ブラシが柔らかいものがオススメ。
歯磨きペースト
ビルバックのデンタルペーストは、唾液に含まれるハイポチオシアンイオン(殺菌作用あり)の産生を助ける酵素が含まれています。
味も3種類(バニラ、モルト、チキン)から選べます。
デンタルシート
いきなり歯ブラシから始めるのではなく、デンタルシートを指に巻いて磨くのがオススメ。
動物用のものが販売されています。
まずはデンタルシートで磨く
いきなり歯ブラシを歯に当てるのはむずかしいので、まずはデンタルシートから始めましょう。
猫の唇をひっぱり、歯をむき出しにします。
犬歯と臼歯の表面をガーゼでこすります。最初のうちは裏側を磨かなくても大丈夫ですよ。
この時点で嫌がるようなら一旦ストップしましょう。
歯ブラシで歯を磨く
ここでも、いきなり歯を磨くのではなく、まず歯ブラシに慣れてもらうために、歯や歯ぐきにやさしく歯ブラシを当てることから始めてください。
歯を磨くときには、次のところを意識してみてください。
- 歯の表面
- 歯周ポケット
- 歯と歯の間
- 歯の裏側
この中でも、歯周病の原因となる細菌が多く存在するのは歯周ポケット。
歯周ポケット(歯と歯茎の境目)にたまっている歯垢をかきだすようにブラッシングしましょう。
ちなみに、もっとも歯垢がたまりやすいのは上顎の臼歯です。
猫が歯磨きを嫌がる場合の対処法は?
「そんな簡単に言うけどやっぱむずかしいよ」
と思いますよね。
「どうしても歯磨きを嫌がってしまうんだけど、何か他に方法はないでしょうか」
という人には、
ピュリナのデンタライフというデンタルケアおやつもあります。
「デンタライフ」はサクサク噛める形状をしており、噛むことで歯石の蓄積をコントロールできる猫用おやつです。
歯磨きは嫌がってできないけど歯のことは心配、何か他に歯のケアをしたい、という人にはオススメです!
まとめ:歯周病予防には歯磨きが必要!歯磨きは長く楽しく続けることが大切!
- 歯周病の予防には歯磨きが必要
- 歯の表面だけではなく、歯周ポケットを意識して磨く
- 歯磨きは長く楽しく、嫌がるようならストップ
3歳以上の猫の8割が歯周病と言われている今、大事なのは歯周病を予防すること、つまり毎日の歯磨きです。
最初は猫に嫌がられる日々が続くかもしれません。
まずは週1~2回から始めて、徐々に回数を増やしていき、最終的には毎日の歯磨きを習慣にしましょう。
できれば子猫のうちから歯磨きの習慣をつけるのが良いです。
病気の早期発見にもつながりますね。
少しずつでいいので猫ちゃんの歯磨きにトライしてみましょう。
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