こんにちは、獣医師のにわくま(@doubutsu_garden)です。
歯を健康に保つためには、予防歯科とくに歯磨きはとっても重要、と分かってはいてもなかなかできないという人が多いのではないでしょうか。
今日は歯磨きをする意義と方法について解説します。
少しでも参考になればと思います。
犬の歯磨きの代わりにデンタルグッズを使うのはアリ?
現在では、多くの犬用デンタルグッズが市販されています。
しかし、デンタルグッズと謳っているものの多くは、歯周病の予防や治療にはなりません。
それどころか、歯を折ってしまうなど、逆効果なものもあります。
たとえば骨やひづめ、硬い素材でできたおもちゃ。
一見、歯磨きグッズとしていいのでは?
と思いますよね。
でも、歯が折れたり、かけてしまう、繊維を歯の間に残してしまうなど、不適切なものもあるので注意しましょう。
効果的な歯磨きとは?
歯磨きのポイントは、
「歯周ポケットの中まで磨くこと」
です。
ガーゼも含めて、市販されているデンタルグッズは、歯の表面の汚れを落とす効果はあるかもしれませんが、歯周ポケットの中まで磨くことはできません。
歯周ポケットの中まで磨くには、やはり「歯ブラシ」が必要になってきます。
- 歯周ポケット内の歯垢を除去
- 歯周ポケットに空気を入れて細菌の増殖を抑える
- 歯周病を抑える薬を入れることが可能
歯垢を除去するには「歯磨き」によって機械的に除去するしかありません。
人でもそうですが、口をゆすいだり、抗生剤を飲むだけでは除去できません。
歯ブラシでブラッシングすることが重要なのです。
また、歯周ポケットを磨くことでにそこに空気が入るので、歯周病の原因となる細菌が増殖しなくなるというメリットもあります。
歯磨きを嫌がる場合はどうしたらいい?
抱っこされたり、体を触られるだけでも怒るワンちゃんがたまにいますが、そうでなければ口を触る練習から始めてみましょう。
手で口や歯を触る
いきなり歯ブラシを入れるのはむずかしいので、まずは、手で口や歯を触るところから始めましょう。
- おやつをあげる
- 口や歯を触る
- 褒める
まずはごほうびとして、好きなおやつを最初にあげて…
そして、食べている間に口の周りを触ります。
そのまま唇をめくってみましょう。
歯茎まで触れたらオーケーです!
歯磨きペーストで歯や歯茎をなでる
口の周りを触れるようになったら、次は歯磨きペーストをつけた指で歯や歯茎をなでてみましょう。
歯磨きペーストは動物用においしいものが販売されているので、好みのものを選びましょう。
歯ブラシで歯を磨く
以上のことができるようになったら、次は歯ブラシで歯を磨く練習です。
- おやつをあげる
- 歯ブラシを口や歯に当てる
- 褒める
- 歯ブラシで歯、歯と歯茎の境目(歯周ポケット)を磨く
- 褒める
ここでもいきなり歯を磨くのではなく、まず歯ブラシに慣れてもらうために、歯や歯ぐきにやさしく歯ブラシを当てることから始めてください。
歯を一本磨くたびにおやつをあげて褒めてあげてくださいね。
- 歯の表面
- 歯周ポケット
- 歯と歯の間
- 歯の裏側
最初に説明しましたが、歯周病の原因となる細菌が多く存在するのは歯周ポケット。
歯と歯茎の境目を重点的にブラッシングするようにしましょう。
歯磨きは長く楽しく続けることが大切です!
だからといって、毎日全ての歯を完璧に磨くべきと言っているわけではありません。
初めは短時間でも構わないし、前歯だけ、犬歯だけでもオーケーです。
そして大事なのは、できないからといってワンちゃんを怒らないこと。
さらに歯磨きを嫌がるようになってしまいます。
コミュニケーション、スキンシップの1つとして飼い主さんとワンちゃんの関係を深められるような時間にしましょう。
- 怒らない
- 嫌がったらストップ
- できたら大げさに褒める
オススメの歯ブラシと歯磨きペーストを紹介!
これから紹介するものは全て動物用です。
歯ブラシは小児用のものでもいいのでは?
とよく聞かれますが、ヘッドの大きさやグリップの角度、長さが異なるので、やはり動物用を選んだ方が良いかと思います。
基本的にはヘッドが小さくて、ブラシが柔らかいものがオススメ。
ビルバックC.E.Tデンタルブラシダブル
大小2つのヘッドがあるタイプ。
大きい方のヘッドは三角形になっていて、歯の表面の汚れを落とすのに向いています。
小さい方のヘッドで歯周ポケットの汚れを落としていきましょう。
ビルバックC.E.Tペリエイドデンタルブラシ
ペリエイドデンタルブラシは、歯周ポケット内の歯垢をかき出す極細毛と、歯の表面を磨くフラット毛の2種類の植毛が特徴。
ヘッドも小さいので小型犬にも使いやすいです。
歯磨きペースト
ビルバックのデンタルペーストは、唾液に含まれるハイポチオシアンイオン(殺菌作用あり)の産生を助ける酵素が含まれています。
もちろん水だけでもいいですよ。
歯周病予防には歯磨きが必要!コミュニケーションの一環として楽しく取り入れよう!
- 歯周病の予防には歯磨きが重要
- 歯の表面だけではなく、歯周ポケットを意識して磨く
- 歯磨きは長く楽しく、嫌がるようならストップ
診察をしていると、歯ブラシどころか口を触るだけでも嫌がるというワンちゃんはとても多いです。(うちのわんこもその1人です…笑)
今日紹介したように、いきなり歯ブラシで歯みがきするのではなく、少しずつ慣れるようにスキンシップやコミュニケーションを交えた方法を取り入れてみるのがオススメ。
小さい頃から歯ブラシのトレーニングをしておきましょう!
まだ乳歯しか生えていないワンちゃんも今のうちから始めましょう。
歯ブラシに慣れさせるチャンスですよ。
歯磨きにトライしてみたけどどうしてもムリだった場合は動物病院に相談してみましょう。
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