こんにちは、獣医師のにわくま(@doubutsu_garden)です。
犬の呼吸が速かったり、荒かったりすると心配になりますよね。
暑いときや運動した後は呼吸が速くて荒くても問題ないのですが、そうでないときは何か病気がかくれている可能性があります。
今日は、犬の呼吸が速くて荒い場合に考えられる原因について解説します。
異常な呼吸とは?正常な呼吸を知ろう!
正常な呼吸とは?
犬は胸を上下にゆっくり動かして鼻で呼吸しています。
犬の正常な呼吸数は
大型犬 : 15〜20回
小型犬 : 20〜30回
だいたいこれぐらいです。
1分間に40回を超えるようなら呼吸が速いな、と思いましょう。
しかし、正常な呼吸数は犬の大きさや年齢によって変わってくるので、おうちのわんちゃんの通常の呼吸数を知っておく必要があります。
安静時か睡眠時の1分間あたりの呼吸数を測ってみて、それを大幅に超えたら異常です。
だいたいでいいので知っておくだけで異常に気付きやすくなりますね。
しかし、健康な犬でも息が速く荒くなる場合があります。
前回お話ししたパンティングというやつですね。
パンティングは、”動物が体温調節のためにおこなう、あえぐような呼吸”のことでしたね。
健康な犬の場合、パンティングをする原因は、
- 暑いとき
- 運動した後
- 興奮しているとき
- 緊張しているとき
このような場合は、健康な犬でも呼吸が速く、荒くなります。
そして涼しくなって体温が下がったり、時間がたてばパンティングはおさまります。
また、不安やストレス、恐怖感があると交感神経が優位に働きます。
そのため、呼吸数が増え、心拍数・体温も上がります。
例えば、病院に行く、来客がある、などですね。
呼吸が速くなるにも、よだれ、口周りをなめる、耳を下げる、震えなどの行動がみられるので注意してみてみましょう。
異常な呼吸とは?
では、異常な呼吸とはどんな呼吸でしょうか。
- パンティングをする原因がないのに呼吸が速くて荒い
- 呼吸が速くて荒いのが長く続く
- 安静時に口を開けて呼吸している(開口呼吸)
- 胸やお腹を大きく動かして呼吸している
- 舌の色が悪い
このような呼吸は異常と考えていいでしょう。
犬の呼吸が速くて荒い場合に考えられる原因は?
犬は呼吸をすることで体内へ酸素を取り入れ、二酸化炭素を体外へ放出しています。
何らかの原因で体内に取り込む酸素が不足すると、足りない酸素を取り入れようと呼吸が速くなるんですね。
呼吸が速く荒くなる原因として、
- 呼吸器疾患
- 心疾患
- 発熱
- 熱中症
- 血液の異常(貧血)
- 痛み
これらの可能性があります。
呼吸器疾患
鼻、咽頭、喉頭、気管、気管支、肺を呼吸器といいます。
このどこかに異常があると呼吸が速く荒くなります。
- 閉塞(異物)
- 感染(細菌、真菌、ウイルスによる気管支炎、肺炎など)
- アレルギー(気管支喘息など)
- 腫瘍
などが原因として考えられます。
心疾患
犬でよくみられる心疾患には、
- 弁膜症
- 心筋症
- 不整脈
- フィラリア症
などがあります。
心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割をしています。
心臓のポンプとしての機能が低下したり、心臓に十分な血液量が戻ってこれないと、呼吸が速く荒くなります。
そのほかにも、咳、ちょっとした運動で疲れる、失神する、舌の色が紫色になる(チアノーゼ)などいろんな症状がみられます。
発熱
感染症(子宮蓄膿症や関節炎など)が原因で体温が上がっている場合も、体温を下げるためにパンティングをします。
熱中症
高温多湿の環境に長時間いると熱中症になります。
体内から発生する熱と、外部から受ける熱で急激に体温が上がり、命の危険もあります。
熱中症の症状の一つとして呼吸の異常があります。
貧血
酸素は血液中のヘモグロビンによって運ばれます。
ヘモグロビンの量が減ると、足りなくなった酸素を補うために呼吸が速くなります。
貧血になると、呼吸のほかに粘膜の色にも異常が出ます。
歯ぐきや舌の色が白に近いピンク色になっていないかみてみましょう。
痛み
痛みがある場合は、交感神経が優位に働き、呼吸数・心拍数・体温が上がります。
そのほかにも、クンクン鳴く、動かない、震えなどがみられます。
外傷や下痢などによる腹痛、関節や脊椎の痛みがある可能性があります。
まとめ:犬の呼吸が速い・荒い!対処法はある?
呼吸の異常に早く気づくために、まずはおうちのわんちゃんの正常な呼吸状態を知るようにしましょう。
おかしいなと思ったら、
- 興奮させない
- ゆっくり水を飲ませる
- 楽な姿勢にする
- 新鮮な空気(とくに酸素)を吸わせる
- 熱中症の疑いがある場合は体を冷やす
まずは安静にして興奮させないことが重要です。
また、痰を出しやすくするために水分を少しづつ与えましょう。(可能であれば)
呼吸器や心臓に持病がある場合は、病院から酸素ボンベを借りるか、ホームセンターなどで売っている携帯用酸素を常備しておくのもいいですね。
状況から熱中症が疑わしい場合は、体を冷やす応急処置をしましょう。
そして、家で様子をみようとせず、なるべく早く病院へいきましょう。
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