こんにちは、獣医師のにわくま(@doubutsu_garden)です。
「昔獣医になりたかったけど、大学に落ちて今は別の仕事してます。今社会人5年目なんですが、やっぱり獣医になりたい」
と悩んだり迷ったりしている人は、年齢問わずけっこういます。
今日は、今は別の道に進んでいるけどやっぱり獣医になりたい、あきらめられない、という人に向けてお話しします。
獣医落ちたけどあきらめられない…私の場合は…
私自身、現役で国立の獣医大学を受験して不合格、私立は獣医学部を受験せず、全く別の学部を何個か受けて、その中の一つに入学しました。
浪人する気は全くなかったです。
その時点で、
- 獣医をあきらめて別の道を進むか
- 大学を卒業して就職したのち、その時点で獣医になりたい気持ちがまだあれば再受験するか
のどちらかを考えました。
入学した大学で学べることも、わりと興味があったし、とりあえず卒業しようかなと考えました。
でも、心のどこかでこのままでいいのかな、どうしようと迷っている自分がいました。
少しでも迷いがあるということはあきらめられないということ。
今やっておかないと絶対後悔すると思い、結局1年後に再受験し、無事合格しました。
早い段階で受験しなおすと決めたので、受験生の勘が鈍ってなかったのが幸いでした。
社会人から獣医師になる方法はある?
結論から言うと、社会人から獣医師になることは可能です。
私は、獣医を受け直すかどうか迷っている時に、
「一度社会人になってからでも獣医になれる」
ということを知りました。
現役と同じように一般入試を利用する
これが一番わかりやすい方法ですね。
現役の時に経験したセンター試験(2020年度からは大学入学共通テストになりますね)と2次試験を受験します。
高校を卒業していれば誰でも受験できますが、5科目全て勉強しなければいけないという高いハードルがあります。
私の先輩で、別の大学を卒業して2年後に、一般入試で獣医大学に合格した人がいるので不可能ではないということですね。
学士編入・社会人入試を利用する
「学士編入」「社会人入試」という制度を利用することで、社会人から獣医大学に編入することができます。
- 学士編入:4年制の大学を卒業(見込み)した「学士」が対象
- 社会人入試:大学によって受験資格は異なるが、4年制以上の大学を卒業していない者が対象で、職歴3年以上求められることがある
つまり、4年制以上の大学を卒業して「学士」という学位があれば学士編入での受験が可能です。
文系理系は関係ありません。
社会人入試は、4年制以上の大学を卒業しておらず、高卒で働いてるけど獣医大学を受けなおしたい、という人などが対象。
高校卒業、もしくはそれと同等以上の学力は求められます。
すべての大学が学士編入、社会人入試をおこなっているわけではありません。
- 帯広畜産大学
- 宮崎大学(欠員が出た年のみ)
- 酪農学園大学
- 北里大学
- 麻布大学
以前は、10校ほど実施していたと思うのですが、だいぶ少なくなりましたね。
国立大学は共同獣医学部に編成されたことも関係あるのかもしれませんが、ほとんど廃止になってしまいました。
受験条件や何年次に編入するのか、社会人経験が何年必要か、試験内容、募集人数などは大学によって異なります。
例えば、北里大学の学士編入であれば、2年次への編入が可能。
4年制以上の大学を卒業(見込み)し、学位(学士)を取得した者であることが必要です。
試験内容は書類審査や小論文、面接。
募集人数は若干名と書いてありますが、多くても5人程度。
狭き門です。
獣医師になるには獣医大学で6年間専門科目を学び、獣医師国家試験に合格しなければなりません。
それは社会人から獣医大学に入り直した人でも同じことです。
受験して合格しても長い道のりであるということは覚悟しなければいけませんね。
獣医師にはなれないけれど、こんな道もある
社会人学生として大学院で獣医学を学ぶ
この制度は、私も最近知りました。
宮崎大学の大学院では、社会人向けの授業カリキュラムを組んでいます。
獣医師国家資格の受験資格を得ることはできませんが、社会人として仕事を続けながら獣医学の勉強をすることができます。
「社会人学生への配慮」として授業を土日もしくは平日の夜におこなわれます。
獣医学の博士課程が設けられており、1学年を2倍で履修することができる「長期履修制度」が認められます。
動物看護師になるという選択
獣医師という仕事にこだわらず、動物病院や動物関係の仕事がしたいのであれば、「動物看護師」になるという選択肢もあります。
現在、動物看護師は、人間の看護師と違って国家資格ではありません。
専門学校に通ってなくても動物看護師として雇ってもらえたり、仕事内容や立ち位置が動物病院によって異なり、曖昧な部分が多くありました。
しかし、動物看護師は今後国家資格にすると国の方針で決まったようです。
動物看護師も、専門的な知識や技術が必要とされる重要な仕事になると思います。
今は専門学校や通信講座で学ぶこともできるので、働きながら動物看護師を目指すという道を模索してみてもいいかも知れません。
獣医になりたいと思うのなら、今からでも遅くはない
私の大学には、私自身も含め、周りには幅広い年齢の人、いろんな経歴を持った人がいました。
例えば
医学部を中退して獣医学部に入り直した人、
医師免許、薬剤師免許を持っているけど獣医学部に入り直した人、
文系の大学に通いながら予備校に通い、獣医を受けた人、
動物看護師として就職したが、獣医を受け直した人、
外資系企業に20年勤めたのち、社会人編入で獣医になった人
主婦で小学生の子供を2人育てながら社会人編入で獣医になった人(この人は私の先輩ですが、勤務医を経て開業されました!)
など本当にいろんな人がいます。
獣医になりたい人の数だけ、獣医になる道があっていいですよね。
私の同級生にも40代前半の人がいて、卒業時には40代後半でしたが、今ではバリバリ臨床獣医師として働いています。
結果的に全員がうまくいくわけではなく、受からなかった人もいますが、
「もう一度挑戦してよかった」
「このままあきらめてたら、今の仕事に真剣に向き合えないままだったかもしれない」
と話しています。
「もう〇〇歳だし…」
「今他の仕事してて勉強する時間もないしな…」
「成績よかったわけじゃないしどうせ無理だろうな…」
「今から大学に通うお金もないし…」
「家族もいるし…」
実際、今自分が置かれている状況を考えて、獣医を受けなおすことが現実的に難しい人もいると思います。
しかし、それが言い訳になってしまっているのなら、すごくもったいないと思います。
獣医学部に入りなおし、就職して1人前になるまでの時間を考えると10年程かかってしまします。
お金もかかります。
やりたい、あきらめられないと思うのなら今からでは遅いということはないと思いますが、やるなら早いほうがいいです。
獣医になりたいと思っているのなら、時間やお金がかかることを覚悟したうえで、どのような決断が自分に合っているか考えてみてはどうでしょうか。
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