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全国17の獣医大学を紹介
獣医師になるためには、獣医学科がある大学で、6年間専門科目を学び、獣医師国家試験に合格しなくてはなりません。
現在、獣医学科がある大学は、全国に17校あります。
国立大学10校、公立大学1校、私立大学6校。
国立10校
- 北海道大学
- 帯広畜産大学
- 岩手大学
- 東京大学
- 東京農工大学
- 岐阜大学
- 鳥取大学
- 山口大学
- 宮崎大学
- 鹿児島大学
公立1校
- 大阪府立大学
私立6校
- 酪農学園大学
- 北里大学
- 麻布大学
- 日本大学
- 日本獣医畜産大学
- 岡山理科大学
定員は全大学合わせて約1070人と狭き門です。
各大学の特徴をまとめてみた
北海道大学
北海道札幌市にある旧帝国大学。
札幌市街地に、約2キロにわたってキャンパスがあり、日本で一番広い大学です。
獣医大学の中でも北大と東大は偏差値が頭1つ(2つ以上かも?)抜けてます。
「動物のお医者さん」の舞台になって人気が出ました。
基礎研究に強く、大学院へ進学したり製薬会社へ就職して、研究者の道へ進む人が多いようです。
2013年に動物医療センターが移転し、設備の整った地域の中核病院として機能しています。
帯広畜産大学
国公立大学で唯一の畜産系の単科大学。北海道帯広市にあります。
私たちは「帯畜」と呼んでいましたが、地元では「畜大」と呼ばれているそうです。
2015年に、世界で活躍できる学生を養成し、日本・アジアの獣医学教育の教育の拠点として「産業動物臨床棟・飼育棟」が完成しました。
動物の診察から治療、解剖まで一連の流れを学べる施設群として機能し、欧米獣医学教育認証の取得を目指しています。
酪農学園大学
札幌駅から電車で約20分。北海道江別市にあります。
最寄りの大麻駅から近く、札幌までも電車で15分ほどで遊ぶのにも困らない。
しかし、キャンパスが広く、学内での移動が大変。
獣医学群獣医学類と分類されています。
産業動物医療の研究室が多く、卒業後は産業動物獣医師になる学生が多い。
しかし、小動物臨床へ進む学生も約半数います。
北里大学
1年生は神奈川県相模原キャンパスで学び、2年生からは青森県の十和田キャンパスで学びます。
学生の数が多く、研究室も20あります。
卒業後は半数以上小動物臨床の道へ進むようです。
岩手大学
岩手県盛岡市にあります。
東北新幹線の盛岡駅からバスで10分ぐらい。周りにスーパーやコンビニもあるので生活に困ることはありません。
産業動物に強い傾向があり、小動物に強い東京農工大学等連携して補いあっています。
特徴としては、動物病院にエキゾチック動物診療科がありますが、大学病院にエキゾチック動物専門の先生がいるのはめずらしいと思います。
しつけ問題行動相談室もあり、これもなかなかないと思います。
東京大学
東京都文京区にあります。偏差値は群を抜いています。
ご存知の人もいると思いますが、東大には進振り(進学振り分け)制度があります。
1年生から2年生途中までの成績をもとに、3年生からの学部・学科を決める制度です。
理科2類から30名ほどが獣医学科へ進学します。
ということは、3年生から獣医学の講義をうけるので、他の大学が6年かけてやることを東大生は約半分の期間でこなさなければなりません。
ものすごく大変そうですね…
進路は公務員、企業、進学が多いようです。
もちろん小動物臨床へ進む学生もいます。(私は出会ったことがありませんが)
東京農工大学
東京都府中市にあります。
東京にある国立大学として人気で、倍率も高いです。
都会なのですが、キャンパスは自然が多く静かで、都心へのアクセスもいいです。
麻布大学
神奈川県相模原市にあります。
最多の38もの研究室があり、3年生から研究室に配属されるようです。
付属動物病院は大きく、臨床に強いイメージがあります。
日本大学
神奈川県藤沢市にあります。
約120人の学生がおり、約半数が小動物臨床の道へ進みます。
学術部連盟というのがあって、獣医学科では動物福祉班、臨床班、臨床繁殖班に分かれて、普段の講義以外で勉強会や実習などの活動をしています。
日本獣医生命科学大学
東京都武蔵野市にあり、「日獣」とよばれています。
24もの研究室があります。
その中で特徴的なのが、水族医学研究室があること。
水族館飼育動物や観賞魚の健康管理の技術について研究しているようです。
他の大学にはないところなので、海獣類に興味のある人は必見。
岐阜大学
岐阜県岐阜市にあり、JR岐阜駅からバスで約30分。
山のふもとにあり、自然に囲まれた静かでいいところです。
バスはありますが、とても不便なので車は一人一台必須です。
規模は大きくないですが、最近付属動物病院が新しくなり、CT・MRIが導入されました。
放射線治療の機械もあり、近隣の動物病院からの紹介例も多いです。
大阪府立大学
近畿地方唯一、大阪府にある公立大学です。
以前は中百舌鳥キャンパスだったのですが、泉佐野市のりんくうキャンパスに移転しました。
関西国際空港の近くで、中百舌鳥に比べると大阪市内からのアクセスは不便ですが、敷地は広くて設備も整っています。
動物の診療や獣医療の先進的研究をおこなう「獣医臨床センター」実験動物の飼育・研究、先端的バイオ研究をおこなう「動物科学教育研究センター」があります。
岡山理科大学
一時期、毎日のようにニュースで取り上げられて話題になりました。
2018年4月に開学した西日本初の私立大学。愛媛県今治市にあります。
新設学部ということで入試情報はあまりないですが、初年度は全方式を平均すると約6倍。
増設された目的として、不足する産業動物・公衆衛生獣医師の育成という点にあるようですが、果たして6年後どのような卒業生が出てくるのか楽しみです。
鳥取大学
鳥取県鳥取市にあります。
日本海側に位置し、連携している岐阜大学とは4〜5時間かけて移動しなければならないので大変。
遊ぶ場所は少ない(ほぼない)ですが、大学から5分で最寄駅に行けるし、周辺にはスーパーや飲食店もあるので学生生活を送るのにはそんなに困らないかなと思います。
国際獣医学インターンシップ実習として、イギリスのケンブリッジ大学のThe Queen’s Veterinary School Hospitalで総合臨床実習を受けるプログラムも選択できるようです。
山口大学
本州最後の獣医大学。山口県山口市にあります。
山口大学の特徴は、生体を使う実習を取りやめる方針をとっているところだと思います。
どの大学でも獣医学教育6年間で、必ず一度は生体を使用した実習があります。
採血や検査、手術を学ぶためには、生体が必要だと考えられてきました。
しかし、山口大学・鹿児島大学共同獣医学部では、2021年度末までに生体を使った侵襲生の高い実習を行わない方針を決めました。
動物福祉の向上を目的として、生体から模型への置き換えることにしたんです。
しかし模型の需要がまだ少なく、費用の問題や教育レベルに不安な点がありますが、新しい取り組みとして注目していきたいですね。
宮崎大学
宮崎県宮崎市にあります。
こちらも不便なので車が必須です。
畜産県として有名で、産業動物に関する教育に力を入れており、動物病院では、犬猫のほかに産業動物の診療を積極的におこなっています。
全国でもめずらしい大動物用CTがあります。
鹿児島大学
鹿児島県鹿児島市にあります。
動物病院のほかに、大動物診療センターや軽種馬診療センターがあり、国内有数の畜産地帯に立つ拠点動物病院として、地域に貢献しています。
畜産業の発展と公衆衛生上の安全確保のため、鳥インフルエンザなどの越境生動物疾病に関する研究をおこなう付属越境生動物疾病制御研究センターも設置しています。
まとめ:獣医学科は大学ごとに特徴があって受験生は迷うかも。でも、大学に入ったあとは自分次第!
獣医大学は数少ないですが、大学によって力を入れている分野や施設が違います。
どこを受験しようと迷っている受験生も多いと思います。
でも、6年間いろいろなことを学んだり経験することによって、将来に対する考え方は変わってきます。
入学当初は小動物臨床にしか興味がなく、動物病院を志望していた友人が、牛の獣医師になっていたり、大学院に進学して大学の教員になっているなんてことも実際ありました。
この大学だから臨床に強くなれない、研究したいからこの大学じゃないと、というのは一つの考え方ではあるかもしれませんが、そればかりにとらわれてしまうと視野がせまくなってしまいます。
進路や就活というのはある程度、自分次第でどうにかなるもので、獣医大学に関しては、出身大学は関係ありません。(一部の企業はコネなどあるかもしれませんが)
獣医学を学び、獣医師になるための大学というのはどこも変わらないということを忘れないでくださいね。