こんにちは、獣医師のにわくま(@doubutsu_garden)です。
獣医師という仕事に興味があるんだけど、実際どんな仕事をしているの?
獣医師の仕事って動物病院で働く以外にあるの?
獣医学部や獣医師を目指している受験生は気になるところですよね。
今日は、獣医学生の就職先や獣医師が活躍できる場所についてお話しします。
そもそも獣医師ってなに?
獣医師法に次のように書かれています。
獣医師は、飼育動物に関する診療および保健衛生の指導その他の獣医事をつかさどることによって動物に関する保健衛生の向上および畜産業の発達を図り、あわせて公衆衛生の向上に寄与するものとする。
この法律において「飼育動物」とは、一般に人が飼育する動物をいう。
獣医師法第1条
要は、犬猫以外にも、牛や馬など人が飼育している動物全てを診療し、公衆衛生に努めていくってことですね。
獣医の就職先は?
まず、平成28年度の獣医師の届け出数は約39,000人(農林水産省の調べ)。
そのうち獣医療に携わっている人は約35,000人です。
この人たちが、どこでどのような仕事をしているのかみていきましょう。
動物病院(小動物臨床)
動物病院で小動物臨床に携わる人は約15,000人(約40%)。
みんながイメージする「動物のお医者さん」。動物病院で、犬や猫、鳥、ウサギなどの小動物の診療をする仕事です。
個人で経営している動物病院がほとんどです。
院長1人のところもあれば、勤務医(その病院で雇われている獣医師)が複数いる病院もあります。
卒業後はまず、開業している院長のもとで、勤務医として経験を積みます。
数年間経験を積んだのち、開業する人もいれば、そのまま勤務医を続けていく人もいます。
最近では企業が運営する動物病院も増えてきています。
企業病院のメリットは、勤務体系や福利厚生、保険、研修制度が整っていること。
こういうところがしっかり整っているという理由で、企業病院を選ぶ学生も増えてきています。
その他にも、大学病院に研修医として雇ってもらったり(そのまま教員になる道もある)、二次診療病院でも小動物臨床にたずさわることができます。
私の経験をもとに、動物病院での就活についての記事も書いたのでこちらもどうぞ。
公務員
公務員として働いている人は約9,400人、約25%。
公務員には国家公務員と地方公務員の2種類があります。
どちらにせよ、食の安全を守る、感染症の対策、動物福祉の向上など、私たちが生活していく上で欠かせない重要な仕事です。
卒業後、新卒で公務員になる人もいますが、一度動物病院に就職して数年働いてから、公務員試験を受ける人もいます。
国家公務員
国家公務員の場合、農林水産省と厚生労働省での採用枠が設けられています。国家公務員になるには、各省の採用試験に通過しなければなりません。
農林水産省では本省のほか、動物検疫所や動物医薬品検疫所などに勤務します。
厚生労働省では本省のほか、検疫所や地方厚生局で勤務します。
国内のさまざまな機関や海外へ出向することもあります。
出張や全国転勤が定期的にあるのでけっこう大変そうですね。
地方公務員
地方公務員になるには、各地方自治体の採用試験に合格しなければなりません。
都道府県や市区町村が管轄する家畜保健衛生所や食肉衛生検査所、水産・林業・畜産試験場、動物愛護施設、動物園、水族館などで勤務します。
動物園や水族館が人気ですが、運よく配属されれば勤務することができます。
大動物臨床
約4,000人、約10%。
産業動物と呼ばれる牛、馬、豚などを診療します。
農業共済組合(NOSAI)か、企業や個人が経営する大動物病院に入ります。
一般の人はあまりイメージがわかないと思います。
私も大学に入るまで知りませんでした。
民間企業
約2,500人、約7%。
製薬会社や食品会社、ペットフードメーカー、ペット保険会社、病理検査会社、獣医師向けの雑誌を編集する出版社などがあります。
研究や営業などの仕事があります。
これらは基本的に獣医師資格をいかした仕事ですが、獣医師資格を必要としない、全くの異業種へ就職する人もいます。
獣医師に限らず、国家資格を持っているとそれを生かした仕事じゃないともったいない!と思うかもしれませんが、全く別の世界で働いている人もいるんです。
JRA
日本中央競馬会で、競馬場を走る馬を診察する仕事です。
倍率は5〜10倍で、就職するのは最も困難といわれています。
大学院進学
仕事とは違うかもしれませんが、進路の一つとして大学院進学があります。
4年制で、研究をしながら論文を数本書いて、卒業できれば博士号を取得できます。
博士号を取得したあとは教員になったり、動物病院や企業に就職します。
しかし博士号を取ったからといって就職に有利というわけではありません。
やりたいことが見つからないからとりあえず進学という人もいました。
学部と合わせて10年という年月を考えると…将来大学で教員をやりたいのなら、アリだと思います。
ちなみに動物病院を開業しながら、博士号を取った先生もいます。
まとめ
獣医師が活躍できる場所を全て紹介できませんでしたが、こうやってみただけでも獣医師という仕事は本当に幅広いです。
獣医師と聞くと「動物のお医者さん」のイメージが強く、実際に小動物臨床の道へ進む人が圧倒的大多数です。
そのため、動物病院の獣医師は飽和状態となっていく一方で、公務員や産業動物臨床の獣医師、人手不足という状況になっています。
とくに地方ではより深刻。
獣医師の仕事を理解し、小動物臨床以外にも幅広い視野をもった獣医師が増えてくるといいなと思います。
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