こんにちは、獣医師のにわくま(@doubutsu_garden)です。
今日は「ハリネズミの歯」についてのお話。
チンチラやウサギほどではないですが、ハリネズミも歯のトラブルでちょこちょこ診察にやってきます。
今日はハリネズミの歯周病を中心に、歯の病気について解説します。
ハリネズミの歯の診察はむずかしい
ハリネズミは診察するのが難しい動物ですが、歯の診察をするのはより困難。
診察室に入ってしばらくの間、丸まったハリネズミを前に、警戒心が弱まるのを待ちます。
口どころか、体を触診するのも一苦労…。
ハリネズミの口腔内疾患には何がある?
- 歯が折れる
- 歯根膿瘍
- 口腔内腫瘍
- 歯周病
歯が折れる
若齢のハリネズミの歯のトラブルというと、硬いフードを食べたりケージを噛んだりすることで歯が折れることがあります。
歯根膿瘍
高齢になると、歯に歯垢や歯石が沈着して歯肉炎や歯根膿瘍が多く発生します。
ヨツユビハリネズミの口の中は細菌が多く、歯の根っこで感染を起こしている可能性があります。
口の中の腫瘍
高齢になると口の中に腫瘍がみられることがありますが、ハリネズミの口腔内腫瘍は悪性のものが多いです。
なので早期発見が大事!!
視診で口の中にできものがあるときは、鎮静をかけて病変部分を採取して検査します。
手術で取ってしまうのがいいのですが、全部取りきれない場合もあります。
ハリネズミの歯周病の原因は?
- 加齢による歯垢・歯石の沈着
- 口腔内の細菌の増殖
ハリネズミは歯と歯の間は広く、犬のように歯の隙間に歯垢がべったりつくことは珍しいです。
しかし、ハリネズミにふやかしたフードや缶詰を与えていることが多く、これが歯垢や歯石が付く原因となります。
また、口腔内は細菌が多く、歯垢がたまるとさらに細菌が増え、炎症を起こす原因となります。
ハリネズミの歯周病の症状は?
- 口からの出血
- よだれ
- 口周りの腫れ
- 口を気にする
- エサを食べにくそうにしている
- 嗜好性の変化
- 歯がぐらつく
- 歯が抜ける
- 食欲低下
歯周病だけでなく、口腔内腫瘍の時にも同様の症状がみられます。
歯の問題は早期発見が大事!ちょっとした症状を見逃さないようにしましょう。
ハリネズミの歯周病の治療法は?
- 病変部の消毒
- 抗生剤投与
- 消炎鎮痛剤投与
- 抜歯
- やわらかいフードに変更
ハリネズミの歯を治療するためには麻酔が必要となることが多いです。
麻酔をかけた状態で、歯石の除去、ぐらついてる歯があれば抜歯、口の中の消毒などをおこないます。
また、細菌の増殖を抑えるために抗生剤を投与したり、痛みがあれば消炎鎮痛剤を投与します。
ハリネズミの歯周病の予防法は?
歯周病は年を取ってから起こる病気ではなく、若くても起こることがあります。
では、歯のケア、歯周病の予防はいったいどうすればよいのでしょうか。
一番良い方法は、
- 昆虫を食べさせる
- ある程度固いフードを与える
です。
野生のヨツユビハリネズミは甲虫やチョウの幼虫、ミミズ、カタツムリなどの小さな虫を主食として食べています。
ミルワームの外皮やコオロギの外骨格は繊維質に富んでいて、噛むことによって歯垢を除去してくれる効果が期待できます。
そして何より本能的に喜ぶハリネズミが多く、フードに飽きて食べなくなった時にも食欲を回復するきっかけにもなると思います。
寄生虫や病原細菌を持っている可能性があるので、公園や庭にいる虫を捕まえてあげることはやめてください。
市販のミルワームを与えましょう。
固いフードとは言っても、フードが硬すぎるのも問題。
歯肉を傷つけてしまったり、慢性的な炎症の原因となる可能性もあるので注意が必要。
まとめ:ハリネズミの歯周病は気づきにくい。定期的に健康診断を受けよう!
ハリネズミの歯周病は意外と多い病気です。
しかし、飼い主さんがその症状に気づきにくいということもあり、気づいたときには症状が進行して処置が難しくなるということもあります。
人のように歯磨きができればいいのですが、ハリネズミはそういうわけはいかないですよね…泣
早い段階で発見し、検査や治療をすることが重要なので、定期的に(半年に1一回ぐらい)動物病院で健康診断を受けましょう。
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