こんにちは、獣医師のにわくま(@doubutsu_garden)です。
あーーテーブルの上に置いてあったチョコがなくなってる!!もしかして…?!
…なんてことを経験したことがある人も多いのではないでしょうか。
チョコレートやタマネギは犬が食べてはいけないものとして有名ですが、そのほかにも犬に毒性のあるもの、もしくは毒性がなくても過剰摂取することで「中毒」を引き起こしてしまう食べ物があるのをご存知ですか?
今日は、犬に与えてはいけない食べ物について解説します。
犬が食べると危険な食べ物には何がある?
犬に与えてはいけないもの、意外と多いです。以下の食べ物について具体的に解説してみます。
- タマネギ、ネギ類
- カカオ(チョコレート、ココアなど)
- ぶどう、レーズンなど
- アボカド
- キシリトール
- 甲殻類
- ナッツ類
タマネギ・ネギ・ニンニクなどのネギ類
犬が食べてはいけないものとしては有名ですね。
ネギ類は体内のヘモグロビンを酸化させるアリルプロピルジスルファイドという成分により、溶血性貧血を引き起こし命を落とすことがあります。
タマネギエキスにも成分は含まれるので、タマネギスープなど調理済みのものであっても与えてはいけません。
元気消失、食欲不振、嘔吐、下痢、血尿、歯茎が白っぽいなどの症状がみられます。
体重1㎏あたり15〜30g摂取すると症状がみられます。
玉ねぎ1個を200gと考えた場合、体重1㎏あたり0.1個食べたら危険ということですね。
カカオ(チョコレート、ココアなど)
こちらも知っている人は多いかと思います。
チョコレートに含まれる「テオブロミン」という物質に毒性があります。
チョコレートに含まれるテオブロミンの量はチョコレートによって異なっていて、同じ量を食べた場合、ブラックチョコレートの方がミルク・ホワイトチョコレートよりも摂取時の中毒症状は出やすいです。
- ブラックチョコレート→体重1kgあたり0.4枚
- ミルクチョコレート→体重1kgあたり1枚
- ホワイトチョコレート→体重1kgあたり40枚
上の数値はあくまでも参考値と捉えましょう。
ぶどう・レーズン・プルーン
近年、ぶどう中毒が増えてきていますが、まだ知らない人が多いです。
ぜひ知っておいてください!
ぶどうが中毒を起こす機序や原因物質についてはわかっていません。
摂取後6〜12時間で嘔吐や下痢、食欲不振などがみられ、急性腎不全を起こすこともあります。
中毒量は生のぶどうで体重1㎏あたり32g(約6粒)、レーズンでは体重1㎏あたり3〜36gとなっています。
アボカド
アボカドに含まれるペルジンという成分が、嘔吐や下痢などの症状を引き起こします。
中毒量についてはまだわかっていません。
キシリトール
キシリトールは摂取後急速に吸収され、インスリンの分泌を促進し、血糖値を急激に下げます。
摂取後30〜60分で低血糖を起こし、嘔吐や運動失調、けいれん発作がみられたり、重篤の場合死に至ることもあります。
体重1㎏あたり0.5g、つまりキシリトルガーム1/5粒で低血糖、1粒で肝障害を起こす可能性があります。
キシリトール含有のガムや歯磨き粉などは与えないようにしましょう。
生タコ、生イカ、エビやカニなどの甲殻類
生タコと生イカは消化不良を起こしやすいので犬の食事には向きません。
生の貝類や甲殻類を大量に摂取すると酵素チアミナーゼがビタミンB1を分解してしまうためビタミンB1欠乏症になる恐れがあります。
加熱するとチアミナーゼは破壊されるので無害になりますが、過剰摂取はあまりおすすめしません。
ナッツ類
ナッツ類のなかで特に注意が必要なのがマカダミアナッツ。
マカダミアナッツは強い中毒性があり、摂取後12時間以内に嘔吐や痙攣などの症状が現れます。
ピーナッツやクルミ、アーモンド、カシューナッツ、ピスタチオなどは中毒症状は起こさないものの、脂質が豊富なため肥満の原因になったり、下痢や嘔吐など消化器症状を引き起こす可能性があります。
基本的にナッツ類全般は与えない方が良いでしょう。
犬が食べてはいけないものを食べたらどうすればいい?
「チョコレートを食べてしまった」
「ご飯を食べてからなんだか様子がおかしい」
もしこんな風に中毒を疑う場合には、飼い主さんはどのような対処をすべきなのでしょうか?
何を、いつ、どのくらい食べたか
これが重要です!
もし食べてはいけないものを食べてしまった場合は、家で様子を見るのではなく、必ず動物病院で診察を受けてください。
何を食べたか
犬にとって毒性のある食品を食べているかどうかの判断ができます。
どのくらい食べたか
犬の体重と摂取した分量によって、症状がどのレベルなのかが分かります。また、毒性のない食べ物でも過剰摂取することで中毒を引き起こす場合があります。
いつ食べたか
摂取してからどのくらい経過しているかによって、どのような処置をすべきかが変わってきます。
もし時間が分からなければ、いつまで元気だったか、あるいは元気がないことに気付いたのはいつ頃かを伝えましょう。
犬に与えてはいけない食べ物の代表例は知っておこう
私たち人間にとっては栄養が豊富で美味しいものでも、犬にとって危険な食べ物というのは意外と多いです。
大量に食べなければ問題にならないものから、少量でも臓器に障害を起こしたり死に至るような食べ物までさまざま。
食べてはいけないものを理解し、危険な食べ物は食べられない場所に置く、もし食べた可能性があるならすぐ病院へ行きましょう。
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