犬は発情期になるとどうなる?時期や行動の変化・気をつけることとは?

こんにちは、獣医師のにわくま(@doubutsu_garden)です。

つい最近まで子犬だったのに、ずいぶん大人になったな〜と感じることはありませんか。

成長スピードは人間よりもずっと早いですよね。骨格が大きくなるのとともに、もちろん性成熟も進んでいき、発情というものがみられるようになります。

発情が来るとわんちゃんの行動が変化することもあるので、一緒に生活する上で、性成熟や発情のしくみについて知っておくことは重要です。いつか交配させたいと考えている人もぜひ知っておいてほしいことです。

今日は犬の性成熟と発情について解説します。

目次

犬の性成熟とは?

性成熟とは、一般的には犬の体が生殖可能な状態になったことをいいます。

つまり、メスでいうと初めての発情が性成熟の目安となります。

オスではメスほどハッキリしませんが、「片足を上げて排尿をするようになること」が分かりやすい目安ですね。
他にもクッションやぬいぐるみなどの上に乗って腰を振る行動(マウンティング)がみられるようになります。

犬の性成熟期は、犬種や個体などによる差はありますが、一般的に生後6〜12ヶ月頃に訪れます。

小型犬の性成熟は比較的早く、大型犬では遅く訪れます。

にわくま

大型犬の初めての発情は生後12ヶ月〜24ヶ月にみられる場合もあります。

犬の発情とは?

メスの場合は性成熟を迎えると、初めての発情出血がみられるようになります。

これには個体差があり、生後5カ月で始まる子もいれば、2歳までみられない子もいます。(小型犬のほうが比較的早く初回発情出血があるといわれています)

一方、オスには発情期というものがありません

オスは発情期のメスの尿に含まれるフェロモンに反応して発情し、交尾が可能となるため、オスは発情中のメスに誘発される形で反応が起こります

犬の発情サイクルについて

メス犬の発情は、6〜10ヶ月の周期で起こり、1年に約1〜2回の周期で発情を繰り返します。一方、先ほど説明したように、オスの発情には周期性や季節性がありません。

メスの発情サイクルは下のグラフに示した通りです。

一般的には1年に2回(1回の場合もある)発情が来るということになります。

犬の発情サイクル

発情前期

約3〜27日間、平均約8日間続きます。

発情期に向けて子宮内に流れる血液の量が増え、発情出血が確認できる時期です。いわゆる「犬の生理、ヒート」とよばれるものですね。


この時期の陰部は、赤く充血し、ぷくっと腫れた状態になり、犬は陰部をなめるような仕草をみせます。

発情出血は平均で7~10日続きますが、個体差があり、3日で終わる子もいれば14日以上続く子もいます。

にわくま

ちなみに犬は人と違って、発情出血後に排卵が起こり、妊娠が可能となります。

発情期

約5〜20日間、平均約10日間続きます。

メスがオスを受け入れる時期で、妊娠可能な時期です。

にわくま

発情出血がみられたあとに本当の発情期(妊娠できるタイミング)が来るということですね。

犬の交配に適したタイミングは?

犬の交配は、一般的には発情出血がみられてから10〜14日目の間に複数回交配するのが良いです。

ただ、発情出血には個体差があって、見た目には分からないことも多いです。

発情出血の開始のほかにも、外陰部の腫脹オスに対する交尾の許容状況膣スメア検査などを総合して交配適期を判断します。

なかなか妊娠しないな、いつが発情期かわからないなという場合は動物病院でチェックしてもらうのがいいでしょう。

にわくま

人は毎月妊娠のチャンスがありますが、犬の場合は1年に1〜2回しかないということになります。

発情休止期

黄体期とも呼ばれ、約2ヶ月間続きます。

妊娠が成立した場合は受精卵の着床や妊娠の維持に必要な黄体が形成される時期。
妊娠~出産、そして授乳の時期にあたります。

妊娠が成立していなくても、黄体は2ヶ月ほど機能します。

妊娠していない犬は通常の生活と変わらない場合がほとんどですが、妊娠をしていないにも関わらず妊娠したかのような状態=偽妊娠がみられることがあります。

ぬいぐるみやタオルを子犬に見立てて、巣作りをしたり授乳しようとする行動が見られます。実際に乳腺がふくらみ、母乳が出ることもあります。 

生理現象なので、だいたい10~15日程度で自然におさまるのですが続くようなら動物病院へ相談しましょう。

無発情期

4~8ヶ月間続きます。

繁殖に関する機能が休止している時期で、この間に発情行動は見られません。

6~7歳になると発情周期が不安定になり、周期自体が長くなる傾向にあります。

メス犬の発情時にみられる体や行動の変化とは?

メスの場合

まず、メスの発情期にみられる体の変化について。

発情の始まる数日前から陰部がはれぼったく赤みを帯びます。
この時点では気づかない飼い主さんも多いと思います。

一番わかりやすいのは、陰部からの出血。赤〜ピンクの液体で、床に垂れるほど量の多い子から、陰部に少しつくだけの量の少ない子までさまざまです。

分泌物が出てくることで、普段より陰部を気にしたり、舐めたりする犬もいます。

にわくま

初めての発情出血は量も少なく、オーナーさんの気が付かないうちに終わっている場合も多いです。

同時に乳腺も腫れます。(おっぱいが大きくなる)

陰部と乳腺をみることで、「あ、発情がきてるかな」とわかると思います。
年に1〜2回しかチャンスはないですが、一度よく観察してみてくださいね。

次に、行動の変化について。

食欲が増えたり、逆に低下したり、元気がなくなったり、逆に落ち着きがなくなる、普段よりおしっこの回数が増える、体温がいつもより高めになる子もいます。

オスを受け入れる準備ができている場合、オスが近寄ってくると、おしりを突き出して後ろ足をつっぱり、しっぽを片方に寄せる、という姿勢をとることもあります。

もちろん何も変化がない場合もあります。

その子によって行動の変化は異なるので、一緒に暮らしていくなかで飼い主さんが把握してあげることが大切です。

オスの場合

オスの場合、発情期のメスのフェロモンをかぎつけ、発情します。

落ち着きがなくなる、攻撃性が増える、メスに近寄りたがる、飼い主さんのいうことをきかなくなる、マウンティングが増える、マーキングが増えるなど、その子によって兆候はさまざまです。

犬の発情期に飼い主が気をつけること

発情時の体調の変化

陰部の腫脹や発情出血などの体の変化だけではなく、頻尿、食欲不振、消化器症状などを示すこともあります。

発情に伴う体調の変化が大きい場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

周囲への配慮

去勢をしていないオスは発情中のメスの匂いに敏感に反応します。

散歩中など、オスとの接触が考えられる場合には、追いかけ回される、ケンカに巻き込まれるなどのトラブルが考えられます。

望まない妊娠を防ぐためにも、お散歩に出かける際には、リードや首輪が外れやすくなっていないかをしっかりとチェックしましょう。

また、「自分の愛犬が今、発情中であること」を周囲の飼い主さんに伝え、相手の犬との距離をとるなどの注意が必要です。

偽妊娠の注意

偽妊娠は生理現象であり自然におさまりますが、偽妊娠の状態が長く続くことにより、乳腺炎などを引き起こすことがあるので、その場合は動物病院へ相談しましょう。

避妊手術をすることで偽妊娠を防ぐこともできます。

発情休止期の注意

発情休止期(発情出血後1〜2ヶ月)は、黄体から分泌されるホルモンであるプロジェステロンの作用により、免疫力が低下して細菌感染を起こしやすい状態になります。

そのため、この時期には細菌が侵入し、子宮蓄膿症を発症するリスクが高まります

陰部を清潔に保つように心がけ、

  • 元気、食欲、飲水量が普段と変わりないか
  • お腹が異常に膨らんでいないか
  • 陰部から膿が出ていないか
  • 異常に陰部をなめていないか

などを注意してみるようにしましょう。

病気の早期発見に重要なポイントです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次