こんにちは、獣医師のにわくま(@doubutsu_garden)です。
今日は、犬の脱毛症Xについてお話しします。
脱毛症X(アロペシアX)の症状は?
脱毛症Xは、「偽クッシング症候群」や「成長ホルモン反応性皮膚症」、「ポメラニアン脱毛症」など、さまざまな病名で呼ばれてきました。
脱毛症Xとは、首〜しっぽにかけて、かゆみを伴わない脱毛を起こすこと。
左右対称であることが多いです。
首やおしり周りから脱毛が始まり、徐々に背中や腰へ広がっていきます。
頭部と手足以外の皮膚が薄くなり、同時に皮膚が黒ずんできます。(色素沈着)
2〜4歳の若齢のオスにみられることが多いですが、メスや高齢犬でも発症します。
ポメラニアンでみられることが圧倒的に多く、そのほかにもプードルやチワワ、パピヨン、スピッツ、アラスカンマラミュートなどでもみられます。
ところで、”X”って何なの?
原因不明であることから、”X”をつけて脱毛症Xとよばれるようになったんだよ。
なるほど。脱毛症はアロペシアというから、アロペシアXとも呼ばれてるのね!
脱毛症Xの原因は不明である
毛は、成長初期→成長期→退行期→休止期と成長します。
脱毛症Xは、毛周期が「休止期」で止まってしまい、次の段階である「成長初期」へ移行しない毛包が多くなるといわれていますが、その原因はわかっていません。
副腎から出る男性ホルモンのアンバランスが原因とも考えられています。
脱毛症Xの検査法は?
確定診断の方法はありません。
まずは、皮膚の一般検査をして、他に原因がないかを除外しておく必要があります。
そして、犬種や症状、経過などを合わせて診断します。
脱毛症Xの治療法は?
原因不明のため、有効な治療法はありません。
脱毛症Xは、体調が悪くなるような病気ではないので、見た目の問題だけなんですね。
気にならないという場合は、治療は必要ないと思います。
ただし、散歩に行くときは、太陽の紫外線から皮膚を守るために服を着せるなど対策をした方がいいと思います。
また、皮膚が乾燥したり炎症を起こす場合は、保湿剤をぬったり、メラトニンやLシステインなどのサプリメントを投与することもあります。
まとめ
いかがでしたか?
脱毛症Xは、若齢のうちからみられる原因不明の脱毛症で、有効な治療法もありません。
美容上の問題なので、私自身は積極的な治療はすすめていません。
脱毛の症状がみられたら、まずは他の病気を除外することが必要です。
早めに動物病院で相談してみましょう。
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