こんにちは、獣医師のにわくま(@doubutsu_garden)です。
梅雨入りしてだんだんじめじめ暑くなってきましたね。
さて、犬を飼っていれば一度は見たことがあると思いますが、
「舌を出してハアハア呼吸をしている」
この行動は「パンティング」とよばれますが、初めて見てびっくりした人もいるのではないでしょうか。
これって正常な呼吸?大丈夫?
と聞かれることもあるので、
今日は、「パンティング」についてお話ししようと思います。
パンティングとは?
まずいきなり「パンティングってなに?」ってことですが、
動物が体温調節のためにおこなうあえぐような呼吸
のことで、舌を出してハアハア呼吸している様子をいいます。
暑い季節や散歩中など、見たことのある人も多いですよね。
ではなぜこのような呼吸をするのでしょうか。
簡単にいうと
体温調節(体温を下げる)のため、ですね。
なぜ「呼吸」で体温調節をするのか?
ではなぜ犬は呼吸で体温調節をするのでしょうか。
そのヒントは「汗腺」にあります。
汗を出す腺(汗腺)の分布が人間と少し異なります。
体温の調整に大きく関わる汗腺はエクリン汗腺といいます。
人では全身にエクリン腺がありますが、犬ではエクリン汗腺は肉球にしかありません。
ということは、体温を下げるための汗腺は人よりも圧倒的に少ないということになりますね。
犬は口を開けて、浅く速い呼吸をする「パンティング」によって体温を下げます。
パンティングをすると鼻や口の中を空気が通ります。
口の中の唾液や水分を蒸発させることで、気化熱を発生させて体温を下げているんですね。
ちなみに…
汗腺にはエクリン汗腺のほかにアポクリン汗腺というものがあります。
犬の毛のある部分(ほぼ体の全体ですね)に存在する汗腺のことです。
アポクリン腺は体臭に関わり、フェロモンの役割をしています。
人ではアポクリン汗腺は脇や股など一部の場所に限られています。
人間の脇や股の汗って、ちょっと臭いますよね笑
犬の体から発する独特の臭いはアポクリン汗腺の影響です。
犬がパンティングをする原因は?
健康な犬の場合、パンティングをするのはどんな時かというと、
- 暑い、湿度が高いとき
- 興奮しているとき
- 運動した後
など、体温を下げようとしているときですね。
このような時は心配する必要がないのですが、そうではないのにパンティングしていると異常である可能性が高いです。
異常なパンティングと見分けるのに、正常な呼吸数を知っておくことは重要です。
犬の正常な呼吸数はどれぐらい?
犬の正常な呼吸数は、
大型犬 : 15〜20回
小型犬 : 20〜30回
だいたいこれぐらいです。
ただ、犬の大きさや年齢によっても変わってくるので、おうちのわんちゃんの通常の呼吸数を知っておく必要があります。
必ず安静時か睡眠時に測るようにします。
胸が上下に動いて1回とカウント。
1分間測ってもいいですが、15秒間測って出た数値を4倍してもいいですよ。
出た数値がその子の正常な呼吸数です。
このパンティング、正常?異常?
犬がハアハア呼吸している姿を初めてみると、これって正常?苦しいのかな、大丈夫?!と焦ってしまいますよね。
でも、まずは、
暑い環境ではないか?興奮する原因はないか?運動した後ではないか?
を考えてみてください。
思い当たる原因がある場合は、部屋を涼しくするなど、原因を取り除いてみましょう。
暑さ対策グッズをうまく利用してみよう!
暑いときのパンティングは自然なこととはいえ、体温調節が間に合わず、熱中症になってしまうこともあります。
現在ではたくさんの暑さ対策グッズが販売されているので、うまく利用して体温を上げないような工夫も必要です。
クールマット
家の中や車の中、外出先でも使えるクールマット。
冷やしたりする必要がなく、そのまま使えます。
1日使ってもまだ少しひんやり感が残るぐらい、もちがいいです。
犬や猫だけでなく、人も気持ちよく寝られるかも?!
耐久性にも優れていて、噛んだり引っかいたりしても破れにくい素材なのでオススメですよ〜。
クールバンダナ
これも持っておきたいアイテム。
熱中症対策には首回りを冷やすことが大事。
保冷剤を入れることができる優れもの。
柄もカワイイものがたくさんあるのでおしゃれも楽しめそうですね。
クールベスト
体幹全体をひんやり包んでくれるベストで、散歩やアウトドアの時に使えますね。
サイズも豊富で、着脱も簡単、縫製もしっかりしています。
クールミスト
家の中でも散歩中でも使えるクールミスト。
ミントっぽい爽やかな香りです。
お散歩バッグに常備しておいてもいいですね♪
まとめ:犬がパンティングしているのは体温調節のため!おさまらない、思い当たる原因がなければ病院へ!
犬が舌を出してハアハアしているのを初めてみるとあせってしまうかもしれません。
しかし、それは体温を下げるための行動で、正常なものです。
部屋が暑かったり、散歩のあとなど、思い当たる原因があればしばらく様子をみても大丈夫。
しかし、なかなか改善しない、暑くもないのにパンティングしているとなると、ほかに原因があります。
また、状況から熱中症が疑わしい場合は、すぐ病院へいきましょう!
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