こんにちは、獣医師のにわくま(@doubutsu_garden)です。
飼い主さんが気づきやすいということもあって、犬の皮膚症状で来院する患者さんはたくさんいます。
皮膚症状には、「かゆい」「脱毛」「フケ」などがありますよね。
そのなかでも今日は、「かゆい」に注目して、犬が体をかゆがる原因を解説します。
かゆみのメカニズムを知ろう!
そもそも、かゆみとは、
ひっかくという行動を引き起こすような不快な感覚
皮膚に異物がついたときに、「異物がついているよ!異常だよ!」と教えてくれるのが「かゆみ」という反応なんです。
かゆくなることで、その異物をかいて取り除こうとしますよね。
つまり、かゆみは体をまもる防衛反応の一つなんです。
では、どうしてかゆくなるのでしょうか?
- 皮膚の表面が、なんらかの刺激を受ける
- かゆみを起こす物質(サイトカイン)が放出される
- 脳が「かゆみ」と認識する
- 動物の場合はひっかく・なめる・かむという行動をとる
- これによって皮膚バリア機能が低下
- アレルゲンやちょっとした刺激に敏感になる
- さらに炎症が起こり、これがかゆみとして認識される
なにかがついているだけの一時的な刺激や弱い刺激であれば、かゆみも長くは続きません。(④で終わる)
しかし、刺激が長く続いたり、強い刺激になると、
かゆみ→ひっかく→皮膚バリアが壊れる→皮膚が過敏になる→炎症を起こしやすくなる…
を繰り返して悪循環におちいってしまいます。
犬が体をかゆがる原因は?
では、かゆみの原因となる最初の「刺激」とはどのようなものでしょうか?
主なものをあげてみます。
寄生虫
- 疥癬
- 耳ダニ
- ツメダニ
- シラミ・ハジラミ
- 毛包虫
「かゆい」という症状で来院した場合、まずは、寄生虫を疑って検査をします。
ノミも含めて、寄生虫の検査や治療を最初にしっかりおこなうことが重要です。
細菌
- 膿皮症
動物病院で最も多く遭遇する皮膚病ではないでしょうか。
膿皮症の主な原因菌はStaphylococcus pseudintermedius(黄色ブドウ球菌)。
黄色ブドウ球菌は、犬の皮膚や粘膜に常在する細菌なので、皮膚病の原因になりやすいんですね。
緑膿菌や大腸菌が原因となることもあります。
病変の深さによって表面性膿皮症、表在性膿皮症、深在性膿皮症にわけられます。
真菌
- 皮膚糸状菌症
- マラセチア性皮膚炎
- クリプトコックス症
- アスペルギルス症 など
カビですね。
真菌感染の多くが人獣共通感染症なので、検査・治療をしっかりおこなわなくてはいけません。
アレルギー
- ノミアレルギー性皮膚炎
- 食物アレルギー
- アトピー性皮膚炎
- 接触性皮膚炎
アレルゲンはたくさんあって、他の疾患や原因と複合して起こることが多いので、診断や治療がむずかしいです。
寄生虫や真菌、細菌の検査や治療をしても反応がなかった場合に、次のステップとしてアレルギーを疑うという流れになります。
腫瘍
- 皮膚型リンパ腫
- 肥満細胞種
単なる皮膚炎だと思っていたら皮膚の腫瘍だったということもあります。
心因性
- 肢端舐性皮膚炎
肢端=手足の先、舐性=なめる
です。これも多いです。
正確にはかゆみに含めるか迷うところですが、「ひっかく、なめる、かむ」をせずにはいられない精神的な要因によるものです。
環境のストレスや不安を解消するために体をなめることで起こります。
とくに手足をなめることが多いです。
なめることで皮膚炎が起こり、さらにその皮膚炎でかゆみが起こる…
という悪循環におちいることも。
その他
- 免疫介在性
- 脂漏性皮膚炎
これらは他の疾患と併発することで強いかゆみがみられます。
犬が体をかゆがるときの対処法は?
かゆみの原因に対する治療が必要ですが、皮膚病に共通して、シャンプー療法は有用です。
皮膚症状に合わせてシャンプーを選ぶ必要がありますが、代表的なものを紹介します。
ノルバサンシャンプー
マラセブ
薬用サルファサリチル酸シャンプー
ビルバゾイル
オーツシャンプー
動物病院で獣医師が取り入れているシャンプーなのでオススメです。
▼ほかにもいろんなシャンプーがあります▼
ペットゴー シャンプー一覧まとめ:犬が体をかゆがる原因はさまざま。こんな症状があれば病院へ。
頻繁にかいている(1〜数時間に1回以上)
食餌中や散歩中でもにも体をかゆがる
かゆみで夜しっかり眠れない
ひっかき傷ができるほどかいている
なめて被毛が茶色く変色している
被毛に切れ毛がある
どれかにあてはまる場合、犬がかゆみで我慢できなくなっている可能性があります。
気になったらすぐに病院へいきましょう!
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