チンチラを飼ってみたいけど、食べ物はどう選べばいいんだろう?
牧草?ペレット?おやつは与えていいのかな?ペットショップに行ったけど種類がたくさんあってどれを選べばいいか分からない!
こんにちは、獣医師のにわくま(@doubutsu_garden)です。
今日は「チンチラの食べ物」についてのお話。
チンチラの診察(主に健康診断ですが)をしていると、食べ物は何をどのように与えたらいいか聞かれることが多いです。
これが正解!という方法はないと思いますが、今日はチンチラの主食やおやつの選び方について解説します!
下の記事では、チンチラを家に迎えるにあたっての飼育環境や準備するべきものについてまとめていますので一緒に読んでみてください。
そもそも野生のチンチラは何を食べているのか?
野生のチンチラは南米アンデス山脈の標高3000mという乾燥した寒いところに棲息しています。
何を食べているかというと、硬くて繊維質の多い草木や樹皮、コケが中心。
降水量が少ないため、栄養素に乏しく、食料自体も少ない環境で生きているのです。
ペットのチンチラの食べ物は?
では、チンチラをペットとして飼うときには何を与えたらいいのでしょうか。
基本的に、チンチラに与えるものは以下の3つ。
- 牧草
- ペレット
- 水
これで十分なんですね。
1つずつ説明する前に、チンチラの栄養要求量についてみていきます。
- タンパク質 15%
- 炭水化物 35%
- 脂肪 4%
- 繊維質 30%
- ミネラル 6%
- 水分および微量成分 10%
チンチラの食べ物の基本は、高繊維・低脂肪ということが分かるかと思います。
牧草
チンチラのメインの食餌はズバリ!「牧草」です。
チンチラの歯は一生伸び続ける常生歯で、硬い繊維質をよく咀嚼して食べることによって歯を磨耗しているので、牧草はとっても重要なんです。
完全草食動物のウサギさんと同じですね。
牧草は常に新鮮なものを与えましょう!湿気が多いと味も変わりますし、カビが生えていると下痢の原因にもなります。
毎日新しいものに取りかえましょう。
たくさん種類があってどの牧草をあげたらいいか迷いますよね。
年齢や好みによって、アルファルファかチモシーのどちらかを選べばオッケーです。
アルファルファ
マメ科植物。
高タンパク質(約16%)、高カルシウム、高繊維質。
成長期のチンチラ(生後6ヶ月ぐらい)に適しています。
おいしいのでアルファルファが好きなチンチラは多いです。
小さいころからアルファルファをメインで与えていると、大人になってチモシーに切り替えてもなかなか食べてくれません。
アルファルファとチモシーをバランスよく与えるようにしましょう。
成長期を過ぎてもアルファルファを与え続けると、たんぱく質、カルシウムが過剰になってしまいます。
カルシウムが多いと膀胱結石の原因にもなります。
チモシー
イネ科の多年草。
低タンパク質(約5%)、低カルシウム、高繊維質。
成長期が過ぎたチンチラに適しています。
アメリカやカナダから輸入されるものがほとんどですが、日本でも北海道で生産されています。
チモシーには、刈りとる時期により1番刈り、2番刈り、3番刈りと種類があり、硬さや繊維質の量が異なります。
1番刈りが最も繊維質が多いので、好むのであれば1番刈りがベストです。
しかしデメリットとして、穂が多く、茎が硬いので食べないチンチラが多いです。
生産者の顔が見える!『モグピョン スーパープレミアムチモシー 1番刈り』その他に、EXTOLEVELの牧草も評判が良いです。価格が高めですが、繊維質が多い競走馬用の牧草を原料にしています。
次に2番刈り。
2番刈りは1番刈りに比べると茎が細く、やわらかくて食べやすいのが特徴。
繊維質は1番刈りに比べると低いです。
やわらかいので、床敷にも向いています。
最後に3番刈り。
3番刈りは最も繊維質が少なく、メインの牧草には向いていません。
しかし、非常にやわらかくて食べやすいので、1番刈りの補助として与えるのがよさそうです。
1番刈りのチモシーをメインにして、2番刈り、3番刈りのチモシーを少しずつ混ぜて与えてみましょう。
1番刈りチモシーだけで食べない場合は、嗜好性の高いアルファルファがミックスされたものもおすすめです。
最初は食いつきが良くても、だんだん食べなくなることもあります。日にちをあけるとまた食べてくれる可能性はあるので、何種類かの牧草でローテーションを回してもいいかもしれません。
産地によって好みが違うかもしれないので、いろんな産地のものを混ぜ合わせるのもいいですね。
結局、どの牧草をどのように与えればいいの?
この牧草の与え方が正解というのはありません。
私が普段、飼い主さんにオススメしている方法は、
- 成長期(生後6ヶ月ごろまで)は、アルファルファ中心
- 6ヶ月を過ぎたころから、少しずつチモシーを混ぜる
- 1歳ごろまでに、すべてチモシーに切り替える
成長期を過ぎてもアルファルファを与えてはいけないわけではありません。嗜好性が高いので、食欲がない場合などはアルファルファを少し加えてみてもオーケー。
基本的にはこのように説明していますが、歯が悪かったり、高齢のため硬い牧草を食べられないチンチラもいます。
数種類の新鮮な牧草を混ぜて、いつでも自由に食べられるようにしておきましょう。
ペレット
ペレットとは、必要な栄養分を含んだ食べ物を、粉末にしてから固めた固形のフードのことを言います。
総合栄養食のようなものですね。
市販のペレットのほとんどは、タンパク質約18%、脂肪約3%、繊維質約7%、ミネラル約7%、およびビタミンA、D、Eを含んでいます。
先ほどのチンチラの栄養要求量と比べると、ペレットだけでは繊維質がいかに不足するかがわかりますね。
主食は牧草で、ペレットはあくまでも副食として与えましょう。
水
いつでも新鮮な水を飲めるようにしておきましょう。
とくに夏はカビが生えやすいので、こまめに交換してくださいね。
番外編:おやつ
かわいいチンチラにおやつをあげたいって思いますよね。
もちろんダメではありません。
ただし、あげるものと量をきちんと守りましょう。
与えすぎは下痢の原因になりますし、主食である牧草を食べなくなってしまいます。
おやつにあげてもいいものってなに?
- ペレット
- レーズン
これぐらいでしょうか。
先ほど、ペレットを副食として与えましょうと説明しましたが、ペレットをおやつがわりにしてしまうのもアリだと個人的には思います。
あとはレーズンを1〜2粒ごほうびとして与えるのもいいです。
ナッツ類やひまわりの種などもい与えていいといわれていますが、脂肪含有量が多いのでなるべく避けましょう。
チンチラは脂肪分の消化が苦手です!
あくまでもおやつは、食欲がないときやごほうびとして少しだけ与えるものと思っておきましょう。
まとめ:チンチラは本来完全な草食動物。良質な牧草をメインに与えよう!
野生のチンチラは、硬くて繊維質の多く含まれた植物を食べています。
なるべく野生下のチンチラに近い食餌にするには、牧草をメインに与えること。
ただ、あまりにもそれにこだわりすぎてもいけません。
歯が悪いチンチラや病気を持っているチンチラに、牧草メインの食餌はむずかしいですよね。
いろんな種類の牧草を与えてみたり、おやつを混ぜてみたり、そのチンチラに合わせた食餌内容にすることが重要です。
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