こんにちは、獣医師のにわくま(@doubutsu_garden)です。
もふもふとした毛に、大きな耳とまん丸の目。その愛くるしい姿と、初心者でも飼いやすいということから人気上昇中のチンチラ。
警戒心は強いが人懐っこい性格で、その点では飼いやすいのかもしれませんが、チンチラはもともと日本の気候とはかけ離れた環境に棲息していて、日本でチンチラを飼うということは、本来とても難しいことだと思います。
そこで今日は、チンチラを家に迎えるにあたってまず用意するもの、ケージや巣箱はどうしたらいいか、トイレは置いたほうがいいのかについてお話しします。
チンチラの生態・性質について
チンチラはげっ歯目のチンチラ属に分類される草食性の動物です。
南米アンデス山脈の標高3,000m、寒くて乾燥したところに棲息しています。
チンチラといえば高級毛皮の1つとして知られていますが、高地の寒い環境に耐えられるように、密な毛に覆われています。1つの毛穴から50〜100本の毛が生えているといわれています。
もふもふしていて、触るとつやっとした感触がたまらないですね。
夜行性で、暗くなると活動しはじめます。
見た目からは想像できませんが、かなり活動性が高く、飛んだり跳ねたりする習性があります。
警戒心が強く怖がりですが、賢くて好奇心も旺盛、人なつっこい一面もあり、初心者でも飼いやすいんです。
清潔で、動物独特の臭いもないので、マンションでも飼いやすいです。
寿命は平均して10〜15年と、いわゆるエキゾチックペットの中では長い部類に入ります。
チンチラの飼育環境は?
もともとチンチラは標高3,000mの南米アンデス山脈という高地に棲息しているため、とにかく暑さと湿気に弱いです。
そして、密な毛におおわれているため、日本の暑くてじめじめした夏はとくに苦手。
25℃を超えると熱中症になる危険性があります!
一方、湿度が低ければ、寒さにはかなり耐えることができます。
ただし、温度が低すぎると脱毛の原因となることがあり、呼吸器疾患にもかかりやすくなるので注意。
理想は室温17〜21℃、湿度30〜40%で保つことだよ!
チンチラを家に迎えるにあたって準備するものと気をつける点は?
- ケージ
- ステップ・ステージ
- 回し車
- 巣箱
- 砂浴び用の砂・容器
- かじり木
- 餌入れ
- 給水器
- トイレ
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ケージを用意しよう
チンチラはよくかじる動物なので、金属あみのケージがいいかと思います。
そして、運動量が多く、飛んだり跳ねたりするので十分なスペースが必要です。
とくに高さがあるのが重要で、2階建てもしくは、ステップやステージで段差をつけましょう。
床も金属あみになっていて、糞尿が下のトレイに落ちるようなケージがほとんどです。
一度、床の金属あみに足をはさんで骨折してしまったチンチラを診たことがあるので、できれば牧草やチップをフカフカに敷いてあげたほうがいいのかもしれません。
たしかに、金属あみのほうが掃除が楽で、清潔に保てます。
掃除をこまめにできるのであれば、金属あみを取り外したほうがいいのかも。
回し車
チンチラには回し車があった方がいいかと思います。
回し車に足がからまって骨折する可能性があるので、取り付け面側はふさがっているのが理想。
サークル
サークルは必須ではないですが、散歩させるのにあったほうが便利ですね。
ケージとつなげて行き来できるように使ってもいいですね。
ステージ・ステップも必要
チンチラはもともと山岳地帯に棲息しており、高低差のある場所を上り下りする習性があるので、ステージやステップをいくつかとりつけましょう。
巣箱を用意しよう
チンチラ1頭に1個ずつの巣箱が必要です。
25㎝×25㎝×20㎝(縦×横×高さ)ぐらいあれば十分。
化学処理された処理された木材は毒性の恐れがあるので避けたほうがいいです。
トイレは置いたほうがいい?
トイレは絶対に必要なものではないと思います。
実際チンチラを買っている人に聞いてみると、トイレを置いていない人のほうが多いです。
おしっこは決まった場所でする子が多いですが、ウンチはいつでもどこでもします。
これが普通で、チンチラにトイレを覚えさせるのはむずかしいので置く必要はないかなと思います。
チンチラは砂浴びをする!
チンチラは被毛を清潔にするために砂浴びをするので、ケージの中に砂浴び用の容器と砂が必要です。
毎日10〜15分、砂の中を転げ回ることで被毛を清潔にし、過剰な皮脂を取り除きます。
長時間砂浴びをすると油分が落ちすぎて乾燥してしまうことがあります。
また、宙に舞った砂や土は結膜炎や呼吸器疾患の原因にもなるので、砂は常に汚れをふるいにかけて清潔にしておきましょう。
砂は、珪砂または白砂と酸性白土を9:1で混ぜたものが理想です。
チンチラの歯は伸び続ける!
チンチラは、切歯・臼歯ともに常生歯で、一生伸びつづけます。
うさぎ同様、不正咬合など歯科疾患が多いです。
野生のチンチラは硬い木や植物をかじって削っているので、やわらかいフードばかり与えてはいけません。
同居はできる?相性は?
チンチラは単独でもつがいでも集団でも飼育可能です。
一夫多妻方式をとることもできます。
しかし、オス同士またはメス同士は同居させられないことが多いので、繁殖を望まない場合は、去勢したオスとメスを同居させるとうまくいくようです。
まとめ:チンチラは活発で人なつっこく、比較的飼いやすいが、家に迎える前にしっかり環境を整えよう!
チンチラはその愛くるしい見た目とふわふわの触り心地ゆえに、最近人気が上昇中。
活発で人なつっこく、初心者でも飼いやすいのではないでしょうか?
しかし、チンチラは日本の気候、とくに梅雨や夏は苦手なので、温度や湿度の変化には十分注意して飼育環境を整える必要があります。
また、チンチラの病気などについては知られていないことも多いので、診察してくれる病院も多くはありません。
あらかじめ、チンチラを診察してくれる病院も探しておきましょう!
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